人体への進入プロセス

 有害物または毒性物質といっても人体やそのたの生体に入らなければ、その有害性を発露しません。
 絵画材料を扱う際に、有害物質が人体に進入する経路については、次のようなパターンが考えられます。画材の使用に際して、注意すべき部分です。



1.経口吸入―呼吸器からの進入(吸飲)

 最も危険性が高く、注意を要するのが呼吸器からの経口進入です。
 特に、顔料を展色材で練り合わせて絵具を作る際や、一度乾かした画面をヤスリなどで削る作業、さらには、エアーブラシによる描画作業などで起こりやすい有害物進入の経路です。画用液などに含まれる有機溶剤の進入経路もこれにあたります。
 ミスト状態で進入してくる有害物は特に危険で、人体に吸収されやすい状態といえます。
 顔料も、展色材で包まれていない状態では、絵具の状態よりも危険性が高いといえます。

    
例 : ビスマスバナジウムイエローの場合
ラットに対する急性毒性の結果が発表されています。
 吸入:LD50=  5.1mg/リットル/4時間
 経口:LD50= 5000 mg/kg以上


単位が異なるので簡単には比較できませんが、少量の有害物質で致死に達することがわかります。


2.経口進入―消化器からの進入(誤飲・食べる)

 絵具を食べるという行為は、常識では考えられませんが、作業中に食事を取ったり、タバコを吸ったりという行為により、手についた絵具屋、飛散した絵具によって知らずに有害性物質を摂取してしまうことがあるかもしれません。
 また、ちいさな子供が誤って口にすることもあるでしょう。子供の誤飲については、絵具メーカー時代にも、年に1度か2度は必ずといってよいほど発生していました。さいわい、摂取量が少ないことで、大きな問題にはなっていませんが、常に存在する危険性のひとつです。



3.経皮進入…皮膚からの吸収

 絵を描く行為で、まったく手を汚さずに作業をするのは難しいでしょう。
 筆、ナイフについで第3の描画用具にもなる指は、絵具の付着を免れない運命にあります。
 絵具類が手や指について、皮膚から進入するという危険性は少ないのですが、傷などがあるとその傷から顔料等の有害成分が侵入してしまう可能性があります。
 また、画用液中の有機溶剤成分の一部は、皮膚を通じて進入してくる物があります。


画材の有害性
有害性への対策
楽屋からの提言
1-1 問題の経緯 2-1 現状の法規制について 3-1 『アートなび』からの提言
1-2 問題の発生状況 2-2 画材表示を理解する  
1-3 人体への進入 2-3 有害物処理方法(試案




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